銀行の自己資本比率規制緩和はコロナウイルス対策になり得るか

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皆さんこんにちは。

コロナウイルスの感染拡大による影響により、景気は確実に悪化しています。

このような時に、世界中の金融機関は金融危機を起こさないよう資金の運用に慎重になります。

コロナウイルスにより金融危機が引き起こされる可能性については下記記事をご覧ください。

今回はこのような景気後退局面において、重要な役割を果たす民間の金融機関が、今後どのような対応を行う可能性があるか考察していきます。

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自己資本比率規制が緩和されても銀行は貸し倒れのリスクを背負ってまで中小企業への融資を行わない?

自己資本比率規制の緩和とは?

自己資本比率規制は、金融機関に「財務上の健全性を常に保つ」ことを求める規制です。

国際決済銀行(Bank for International Settlements)の常設事務局であるバーゼル銀行監督委員会において定められたため、その頭文字をとってBIS規制またはバーゼル規制とも言われます。

対象となるのは、国際的に事業を展開するメガバンク等です。

対象となるような巨大な金融機関は、経営破綻するとその影響により、金融危機を招きかねませんので、各金融機関ごとに保有資産のリスクを適切に管理することを求められているのです。

さらに詳しく解説すると、対象の金融機関は毎年、有価証券や債権等のリスク資産による損失額を保守的に見積もり、その上で8%以上の自己資本比率を保つことで、健全化に努めなければなりません。

また、レバレッジ比率規制と言われる、レバレッジ比率を3%以上に保つことが求められる規制もあります。

レバレッジ比率とは、簡単に言うと、与信額に対する自己資本の割合です(厳密には違うのですが…)。

金融機関の自己資本比率を求める際には、与信額に対して、「リスクウェイト」と呼ばれる信用リスクを乗じて計算しますので、オンリスクベースと呼ばれるのに対し、レバレッジ比率はノンリスクベースと呼ばれます。

こちらも健全性を保つためには、重要な指標となりますので、メガバンク等に求められています。

 

なぜ自己資本比率規制は緩和されるのか?

2020年4月8日、金融庁と日本銀行(日銀)は「金融機関の自己資本比率規制を一部緩和することに合意した」と発表しました。

その内容は、上記で解説した「レバレッジ比率規制」を緩和するために、レバレッジ比率の対象となっている「日銀への預け金」を除外することを認めるものでした。

これは、同じくレバレッジ比率の対象となる「貸付金」の増加を狙ったもので、新型コロナウイルスの感染拡大により、資金繰りに苦しむ企業への貸出を促すためだと思われます。

 

日産は5,000億円の融資を要請

2020年4月8日、日産が国内メガバンク3行及び政府系金融機関の政策投資銀行に5,000億円の融資を要請したと報道されました。

これは、手元現預金を厚く積み増し、流動性を確保することで、仮にコロナウイルス感染拡大による影響で売上が減少しても、経営を継続する体力を増強する狙いです。

すでに中小企業向けの緊急融資は、政府系金融機関の日本政策金融公庫を通じて行われていますが、今後は、日産と同様の大企業でも、資金繰りが苦しくなり、大規模な融資が必要になる企業が続発する可能性は非常に高いと思われます。

その際には、その企業のメインバンクや準メインとなっている金融機関は、資金繰り悪化による倒産を防ぐために融資に対応することになると思いますが、メインバンク以外で取引を行なっている金融機関の対応によっては、倒産する企業が増加する可能性があります。

 

リーマンショック時のような貸し剥がしや貸し渋りは起こるのか?

2008年に起きたリーマンショックの際には、主にメガバンクや大手地銀を中心に貸し渋りや貸し剥がしが横行しました。

貸し渋りとは、金融機関が新たな貸出や追加融資に消極的になることです。

一方、貸し剥がしはすでに行われた融資による貸出金を回収しようとすることです。

どちらも景気減速時に行われやすい行為ですが、これにも自己資本比率規制が関係しています。

具体的には、上記のような自己資本比率規制を遵守せざるを得ない金融機関(特にメガバンク)が、資産を毀損する恐れのある融資、つまり信用力の低い企業への貸出を控えるようになるのが貸し渋りであり、企業の業績が悪化し、不良債権化する可能性がある企業から貸出金を回収するのが貸し剥がしです。

つまり、金融機関も自らの身を守るために必要な措置として、貸し剥がしや貸し渋りを行なっているのです。

なお、貸し剥がしには、法的拘束力はなく、金融機関から一括返済を求められても、契約通りに返済を行っていれば、応じる必要はありません。

問題となるのは貸し渋りであり、追加融資を受けることができなくなると、恒常的に運転資金の融資を受けていた企業は資金繰りが悪化し、最終的には倒産します。

今回のコロナショックでは、リーマンショックの教訓を踏まえ、本来倒産しなくても住む企業が貸し渋りにより倒産するのを防がなければなりません。

 

まとめ

景気が減速期に入ると、金融機関による貸し渋りは高い確率で起こります。

しかし、その行為は国際的な金融危機を引き起こさないためには必要な対策です。

今後求められるのは、政府系金融機関からの資金供給だけでなく、市中の金融機関への緩和を積極的に行い、公的融資の対象ではない企業にも資金が行き渡るようにすることだと思います。

 

 

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