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上場企業が倒産すると保有株式はどうなる?100%減資と99%減資の違いとは?

皆さんこんにちは。

2020年5月15日、とうとう新型コロナウイルスの影響を受けて、東証一部上場企業であるアパレル大手の株式会社レナウン民事再生開始決定を受けました。

新型コロナショックによる上場企業の倒産はこれが初となるとのことですが、今回は、上場企業が倒産すると、株主がどうなってしまうのか解説していきたいと思います。

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新型コロナショックによる上場企業の倒産で株主の保有株式の価値が0円になる?

民事再生手続会社更生法の違いは?破産とは違うのか?

実は「倒産」と一口に行っても様々な種類があり、倒産した企業を残すか残さないかで対応が異なります。

倒産した企業を残して再建する場合は、会社更生法民事再生法が適用されます。

会社更生法は、1952年に制定された株式会社向けの法律であり、主に大企業を対象としています。

一方、民事再生法は、個人や株式会社以外の法人にも適用可能なであり、2000年に施行されています。

会社更生法に比べると民事再生法の方が再建手続きが簡単であり、中小企業でも円滑に経営再建に取り組むことを可能としています。

また、この2つの法律では、経営陣への対応が顕著に異なります。

会社更生法は、裁判所に選任された管財人が再建にあたるため、旧経営陣は経営責任をとって退陣しなければなりません。

一方、民事再生法では、経営陣の退陣は必須ではありません(ある程度の規模の企業であれば、退陣するパターンがほとんどだと思いますが)。

つまり、現経営陣が他企業から支援を受ける等でスピード感をもって経営を再建したい場合には、上場企業の倒産でも民事再生法を申請する場合もあるということです。

なお、会社自体が清算されてなくなってしまう場合は「破産」となります。

ですので、上場企業が倒産した場合は、会社更生法民事再生法が適用されるのか、それとも破産するのかによって株価に与える影響が異なるのです。

 

債務超過の場合は株式の価値は0になる

企業が破産する場合は、そのほとんどが債務超過ですので、企業に資産価値はなく、株主への分配はありません。

つまり、株式の価値は0ですので、紙屑同然となります。

ですので、破産により上場廃止となる場合は、株価は最低額の1円となることが多々あります。

一方で、会社更生法民事再生法が適用される場合は、株式の価値が0にならない可能性があります。

もちろん、「0にならない可能性がある」程度なのですが、将来的に再上場する、後述する上場廃止の回避がなされる等の期待感から株価が10円〜20円程度の値がついた状態で推移することがままあります。

これを踏まえると、今回の新型コロナショックで倒産した(株)レナウンは、下記図の通り、2019年12月末時点では、簿価では15,335百万円の自己資本がありますので、債務超過とはならない可能性があります。

つまり、企業の存在は無くならず、その上、負債を整理すれば資産が残る可能性があるわけですから、上場廃止が決定するまでは株価が乱高下するかもしれません。

(とはいえ、利益剰余金は▲26,153百万円ありますので、清算時までに債務超過となっていないかはわかりませんが…。)

【図】

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出所:株式会社レナウン2019年12月期有価証券報告書

 

資産超過となる場合でも「100%減資」が行われると価値は0になる

会社更生法民事再生法が適用される場合は、大手のスポンサーが新たな出資を行い、その資金により経営再建が始まります。

通常、経営再建が始まる時には、倒産前からの株主が保有する株式は100%減資して、完全に価値をゼロにします。

新たなスポンサーからすると、既存の株主にも倒産したことに対する責任があると考えますし、それは経営上当然のことだからです。

しかし、ごく稀にですが、倒産前からの株主が保有する株を100%減資せず、僅かに価値を残すケースがあります。

その中でも可能性としてあり得るのが、「99%減資」です。

なお、実は99%減資が行われても、純資産上の株式の簿価が減少するだけであり、株式数は変わらないため、株主の権利には何ら影響がありません。

つまり、権利的に見れば1%減資でも99%減資でも何ら変わりはないといえます。

また、株式の価値としてみても100%減資の場合は価値が0になりますが、 99%減資を含むそれ以下の減資では、累積赤字(利益剰余金の欠損)の補填に充てる等の帳簿内の移動があるだけなので実際の価値に変わりありません。

しかし、スポンサー的には既存の株主に権利を与えたままでいると、邪魔な存在にしかなりえませんので100%減資以外の対応はほぼないと考えた方が良いでしょう。

 

まとめ

倒産した会社の株は、その発表後にはただのマネーゲームとなってしまいます。

倒産したにもかかわらず、ストップ高やストップ安を繰り返すこともあり、高値づかみしてしまうと、上場廃止まで売れなくなったり、100%減資により紙屑に変わったりする可能性もあります。

少額で投機的に買う程度であれば面白いかもしれませんが、多額の資金でギャンブルをしてしまうのはやめた方が良いと私は思います。

 

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