現役銀行員の銀行業務相談所

現役銀行マンが個人向けローンから事業融資、投資商品等の金融商品についてわかりやすく説明します。ご質問・アドバイスも承ります。

不動産価格の評価は収益還元法で行う?DCF法や積算法との違いは?

皆さんこんにちは。

不動産投資を行う際に、購入価格が適正かどうかを調べることは非常に重要であり、投資で成功している方々は必ず、購入前に不動産の価値を自分で調べています。

今回は不動産の価値を調べる上で最もポピュラーな収益還元法について解説していきます。

また、物件の価格ではなく、収益性をさらに詳細に求める方法について下記の記事で記載していますのでご参照ください。

f:id:tapisuke:20200519064933j:image

不動産投資に失敗しない不動産価値の調べ方!

収益還元法とは?

収益還元法とは、不動産の収益性に着目して評価を行う不動産価値の算出方法であり、直接還元法とDCF法の2つの方法があります。

 

直接還元法とは

直接還元法は、1年間の純利益(不動産から得られる収入から経費を引いたもの)を還元利回りで除すことで不動産の価格を求める方法です。

具体的な算式は以下の通りです。

直接還元法:不動産価格=1年間の純利益÷還元利回り

例を挙げると、1年間の収益が300万円、経費が50万円、還元利回りが5%の物件で計算してみると、(300万円−50万円)/5%=5,000万円となります。

この数字をどのように活用するかというと、この物件は5,000万円より安ければ割安であり、金融機関からは5,000万円までなら融資を受けることができる可能性が高いと事前にある程度予測を立てるために使います。

不動産投資は金融機関から融資を受けることができなければ、そもそも始まらないため、金融機関がどの程度融資をしてくれるのかを事前に予測することは非常に重要です。

 

なお、不動産投資における純利益とは、家賃等の収入から管理費などの費用を差し引いたものです。

建設したばかりの物件では、収入に対する費用率は20〜30%程度と言われています。

また、計算に必要な1年間の収入額は不動産会社へ依頼してレントロール(家賃表)を作成してもらえば算出可能であり、費用についても平均的な管理費や固定資産税は不動産会社が教えてもらえます。

ただし、不動産会社が作成するレントロールは、ざっくりと作成していることが多いため、エビデンス(作製根拠)を求めるようにしましょう。

 

還元利回りの算出方法

還元利回りは不動産がもたらす投資利回りのことで、キャップレートとも呼ばれます。

あまり還元利回りの求め方を解説しているサイトはありませんので、詳しく解説していきます。

還元利回りの算出方法は、不動産鑑定評価基準に記載があります。

①類似の不動産の取引事例との比較から求める方法

②借入金と自己資金に係る還元利回りから求める方法

③土地と建物に係る還元利回りから求める方法

④割引率から求める方法

⑤借入金償還余裕率から求める方法

この中でも①が最も正確な利回りを求めることができると思われます。

具体的には、周辺で販売されている物件の還元利回りをを不動産会社や金融機関に確認すればわかります。

金融機関は融資を前提とした顧客からの要望であればある程度は応えてくれますので分からないことがあれば活用するようにしましょう。

なお、同じエリアの似たような物件の利回りを確認したら、その物件と投資対象物件を比べ、築年数が浅く、駅からの距離が近い等好条件があれば利回りを高く、逆の場合は利回りを低くすることで利回りを算出するようにしましょう。

 

DCF法とは

DCF法は、ディスカウントキャッシュフローの略であり、物件の保有中に得られる純利益と売却時の物件の予想売却価格を現在の価値に割り引き、その合計額を不動産価格とする方法です。

なお、その根底には、今の100万円と10年後の100万円では価値が違うため、10年後の100万円の現時点の価値は100万円から割り引く必要があるという考え方があります。

例えば、今100万円があれば10年間株式投資を行えますので、利益や配当金による利益を得ることができる一方、逆に長く投資を行えばリスクは増えることから、どちらにせよ現在の100万円のほうが価値が高いといえます。

これを不動産価格の算出方法として考えると、年間200万円の家賃を得られる物件を5年後に1,000万円で売却すると、物件価値は2,000万円といえます。

一方、DCF法を用いた場合は、年々家賃は下がること等を想定して、現時点で想定される家賃から割り引くと同時に、物件価格も割り引いて考えます。

割引率が3%であれば、

1年目の家賃は200万円÷(1+0.03)=194万円

2年目の家賃は100万円÷(1+0.03)²=188万円、

3年目は…と年々減少していきます。

物件価格も同様に1,000万円÷(1+0.03)⁵=862万円となるため、862万円+915万円=1,777万円となります。

 

DCF法の計算式

具体的なDCF法の計算式は以下の通りです。

DCF法:不動産価格=毎期得られる純収益の現在価値の合計+将来の売却価格の現在価値

例えば、1年間の収益200万円、経費50万円、保有期間5年間、割引率3%、売却時の想定価格1,000万円の物件で計算してみましょう。

1年目:200万円-50万円÷(1+0.03)=145万円

2年目:200万円-50万円÷(1+0.03)²=141万円

3年目:200万円-50万円÷(1+0.03)³=137万円

4年目:200万円-50万円÷(1+0.03)⁴=133万円

5年目:200万円-50万円÷(1+0.03)⁵=129万円

1,000万円÷(1+0.03) ⁵=862万円

145万円+141万円+137万円+133万円+129万円+862万円=1,547万円

となります。

 

銀行は賃貸住宅ローンの担保評価に収益還元法と積算法を使う

収益還元法以外の算出方法には、対象となる不動産をもう一度建てるとかかる価格(再調達価格といいます)と土地の価格の合計で評価する原価法や、土地と建物をそれぞれ評価時点の価値を算出し、それを合計する積算法があります。

金融機関は、融資を行う際に住宅ローン等の生活ローンでは、担保評価に積算法を使うことがほとんどです。

しかし、不動産投資に対する融資の場合は、積算法だけでなく、収益還元法も用います。

これは、不動産の収益と物件の売却で返済が賄えるかを金融機関が重視しているためであり、収益還元法で算出された価格を融資金額とする金融機関もありますので、必ず相談前に自身で計算する必要があります。

 

まとめ

収益還元法を用いて不動産価格を求めることがいかに重要なのかをこの記事では紹介しました。

不動産投資は、いかに事前により詳細な計画を立てるかが最高の鍵となりますので、収益の計画だけでなく、出口まで見据えた計画を立てるようにしましょう。

 

クリックしていただけると喜びます!Twitterフォローやブクマもよろしくお願いします!

にほんブログ村 投資ブログへ
にほんブログ村