原油価格はなぜマイナス圏に突入したのか。国内ガソリン価格への影響は?

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皆さんこんにちは。

2020年4月20日にはニューヨーク市場での原油価格がマイナス圏となり、21日のロンドン市場の原油価格もおよそ18年5か月ぶりの安値にまで下落しました。

マイナス圏に突入したのは、原油先物市場の長い歴史上初めての出来事であり、世界的に大きなインパクトを伴って報道されています。

今回は、下落し続ける原油価格が今後どうなっていくのか、また、マイナス圏突入が何を意味するのかについて考察していきたいと思います。

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原油価格の急落した原因は新型コロナウイルス?なぜ下げ止まらないのか?

マイナス価格となったことの意味とは

原油市場において、通常の取引では、買い手が売り手に対価を支払うことで、原油を購入することができます。

2020年4月17日の終値は18.25ドルでしたので、買い手は18.25ドルを支払って1バレルの原油を購入していました。

しかし、2020年4月20日の終値はマイナス37.63ドルでしたので、売り手が買い手に37.63ドルを支払って買い手に1バレルの原油引き取ってもらう状況になってしまいました。

つまり、原油市場に参加する買い手が、無料でも原油はいらない、と言っているようなものです。

 

原油価格が下げ止まらない原因

現在の原油価格急落の原因は大きく2つあります。

一つは新型コロナウイルスの感染拡大による、需要の激減です。

コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、世界各国で移動規制が行われているため、航空会社は国際線、国内線ともに減便をおこなっています。

結果、エネルギー需要が大きく落ち込み、原油の在庫が急増しているのです。

特に、アメリカのシェールオイル業界はその傾向が顕著であり、減産が進んではいません。

その原因は、アメリカ国内の世論として、民間のシェールオイル関連企業の産出量決定に政府が介入するのが違法であるとの考えが根強いことや、現在のこの状況が新型コロナウイルスの影響で一時的に需要が落ち込んでいるだけならば、生産を一時停止してしまうと、再開に多大なコストがかかることが挙げられます。

また、石油各社はヘッジ売り(下落リスクを回避する取引)により、現在の原油価格がマイナス価格になっても、緊急的に減産する必要がそこまで高くないことも原因の一つと言えます。

一方、最大の原因と言われるのが、 3大原油産出国である、ロシア・サウジアラビアとアメリカの対立です。

こちらに関しては、過去の記事で詳しく記載していますので、是非ご参考に確認してください。

上記の記事で記載した内容が現実となりそうで個人的には複雑な気分ですが…。

 

アメリカは自国のシェールオイル関連企業に支援を行うことを示唆

上記のような状況が長期化し、自国に被害が出ることを懸念してか、アメリカのトランプ大統領は、経営が悪化傾向にあるシェールオイル関連企業に対する公的支援を検討する考えを示しました。

2020年4月21日には、トランプ大統領自身のTwitterへの投稿で「国内の石油と天然ガスの重要な企業と雇用が守られるよう、エネルギー長官と財務長官に資金支援の計画を作成するよう指示した」旨の投稿を行い、公的支援を行うことを示唆しました。

 

世界的な原油の減産が行われる可能性はあるのか?

原油の需要が減少しているのであれば、価格を適正に戻す方法は供給も減らすしかありません。しかし、2020年4月21日に行われたOPEC(石油輸出国機構)加盟国及びOPEC非加盟産油国による緊急の電話会議では、原油価格急落への対策として、具体策を打ち出すには至りませんでした。

また、この電話会議には、大規模な減産に頑なに反対するサウジアラビアやロシアは参加しなかったと報道されており、そもそも前向きな対応を協議するに至らなかったのではないかと想定されます。

また、下記の記事で解説しましたが、サウジアラビアとロシアは、アメリカのシェールオイル業界に甚大なダメージを与えるまでは、原油価格の安定に協力しない可能性もありますので、原油価格の混乱は長期化する可能性が現実味を帯びてきました。

 

日本のガソリン価格に影響はあるのか?

原油価格はマイナス圏に沈んでいますが、これはあくまでもニューヨークの原油市場であるWTI原油先物(5月物)に限定された動きであり、その他の原油先物市場では、価格の急落は起きているものの、マイナス圏に沈んだ市場はありません。

ですので、国内でのガソリン価格は下落することは見込まれますが、あくまでも「ある程度」の値下がりにとどまるのではないかと思われます。

 

まとめ

原油価格の推移は歴史的に見ても、類稀に見る予測困難な動向をしています。

これは、世界最大の産油国であるアメリカのシェールオイル業界にも大きな影響を与え続けていることから、この状況が続けば世界経済にも暗い影を落とすことになりそうです。

一方、一般市民である我々が受ける恩恵は微々たるものですので、喜ばしい状況とはとても言えません。

新型コロナウイルスの感染拡大が続く限りは、原油価格の低調な推移は続きますので、一刻も早い終息を祈るばかりです。

 

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