ゾンビ企業が淘汰されるのは好況(景気回復)時でなければならない理由

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皆さんこんにちは。

新型コロナウイルス感染拡大による影響を最小限に抑えるために、政府・日銀は大規模な財政政策・金融緩和等により、企業の資金繰りを支援することで、連鎖的に景気が悪化することを防ごうとしています。

この政策は失業者の増加を防ぐことにつながるため、不況時の対策としては功を奏していると思われますが、同時に本来は経済の回転の中で淘汰されていくべき企業、いわゆる「ゾンビ企業」を生み出しているとも言われています。

今回は、このゾンビ企業とは何なのか、また本来は経済のどのような局面で淘汰されるべきなのか、について考察していきたいと思います。

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ゾンビ企業は不況時には判別できない!倒産させるべきなのは公共時である理由とは?

ゾンビ企業とは?

業績が低調で、経営が破綻している状態であるにもかかわらず、銀行や政府の支援により生き延びている企業のことをゾンビ企業と言います。

ゾンビ企業という言葉はバブル崩壊後から使われ始めた言葉ですが、多額の不良債権を抱えたバブル崩壊後の銀行が、財務内容の悪化を防ぐために、再建の見込みがない企業へ「追い貸し」をして延命したことが原因と言われています。

なお、ゾンビ企業が増えたことで経済の効率性が下がり、バブル崩壊後の「失われた10年」の原因の一つとなり、日本経済の成長を妨げたとも言われます。

銀行がなぜゾンビ企業を生み出さざるを得なかったのかは下の記事に記載しています(金融機関の自己資本規制について)。

 

ゾンビ企業は景気後退を招く可能性がある

ゾンビ企業が生まれた理由は、主に銀行が不良債権の貸し倒れにより、自らの財務が毀損するのを恐れたことが原因ですので、延命する価値のない企業は少しずつでも時間をかけて倒産させていくべきです。

なお、実際にバブル崩壊から時間をかけてゾンビ企業はその数を減らしていました。

しかし、2007年に起きたリーマンショックにより、その数は再び増加に転じてしまいました。

そして、そのゾンビ企業は現在、高い生産性が見込める新規企業の参入の妨げとなり、産業の新陳代謝を低下させています。

そればかりでなく、生きながらえるために採算を度外視した価格で販売を行いますので、同じ産業内の他の優良企業のシェアを奪ってしまっています。

つまり、産業の生産性の向上のためには、ゾンビ企業を倒産させ、優良企業には健全な運営、そして新規参入する企業の増加を図らなければなりません。

 

ゾンビ企業は不況時には発生しない?

上でゾンビ企業は少しでも減らすべきだと述べましたが、それはあくまでも経済の回復期で行われることだと私は考えています。

なぜなら、リーマンショックや新型コロナショックのような不況時では、外部要因により経営が悪化しているのであって、(まだ)非効率な企業(ゾンビ企業)が存続させられている状態ではないからです。

もちろんこれは、バブル崩壊後も同様でした。

つまり、不況が起きたときには、ゾンビ企業は存在せず、経済が不況を脱した後も経営状況が改善しない企業をゾンビ企業と呼ぶのがふさわしいということです。

 

ゾンビ企業を倒産させるのは経済の回復期でなければならない理由とは?

通常、景気は中位の活況・生産の繁忙・恐慌・沈滞の4ステージで循環しています。

「ゾンビ企業論」を唱える方の中には、このステージの恐慌にあたる部分でゾンビ企業は淘汰されるべきだとする方がいます。

しかし、これはあまりにも実態をわかっていないと発言だと思います(そもそも不況により経営が悪化し、債務超過となった企業はゾンビ企業ではないというのが持論ですが)。

なぜなら、不況時には、なによりもスピーディな資金繰り支援対策が重要となるため、仮に支援すべきでないゾンビ企業(候補)に資金が回ったとしても、それは迅速に対応するための「必要コスト」だと言えるからです。

また、ゾンビ企業であっても、不況時に倒産することで、景気をさらに悪化させる要因になります。

経営者と従業員が仕事と収入を失えば、消費をしなくなりますので、当然といえば当然です。

つまり、どんな企業でも、雇用を生み出している以上、倒産が増えるとどんどん景気も悪化してしまうのです。

逆に、経済が回復してくる「中位の活況」時には、景気が回復局面に入り、雇用が復活してきますので、ゾンビ企業が倒産して従業員が失業しても、すぐに就職が可能となります。

つまり、景気悪化の悪循環が起こりにくいのです。

 

ゾンビ企業は銀行が追加融資さえしなければ自然淘汰される

ゾンビ企業は、好況下においては、何もしなくても労働力不足によって淘汰されます。

それは、景気が回復してくると、雇用が回復してきますので、経営が好調な企業は労働力不足になりやすくなります。

そうなると、賃金が上がらない企業からより待遇の良い企業へ労働者が転職してしまいますので、賃上げをする余裕のないゾンビ企業にら労働者がいなくなり、自然に淘汰されていくのです。

ただし、これは銀行が追加融資を行わず、ゾンビ企業の経営を静観し続ける必要があります。

つまり、コロナショックのような不況時には、経営が悪化している企業への支援が必要ですが、今後、景気が回復する局面になっても経営が改善しなければ、支援を打ち切る努力も必要になるということです。

バブル崩壊後から現在まで、自らの都合(政府の意図もあったとはいえ)でゾンビ企業を増やし続けてきた金融機関には、今後、その責任を果たす必要があります。

 

まとめ

ゾンビ企業は、景気回復局面で存在していると、その産業内では害悪でしかありません。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大による不況となっている今、ゾンビ企業論者が唱えているような、「不況時にこそゾンビ企業を淘汰すべき」といった内容もまたを得ていないと思います。

今後、新型コロナウイルスの感染拡大が止まり、景気回復局面に入ってきた時こそがゾンビ企業の縮小期となるよう、政府・民間の金融機関は手を打たなければなりません。

 

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