現役銀行員の銀行業務相談所

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コロナショックはリーマンショックとどう違う?その危険な理由は?

皆さんこんにちは。

連日、新型コロナウイルスの報道が続いていますが、その中で新型コロナウイルスによる経済的な打撃(以下、コロナショックとします。)とリーマンショックは全く違うものだという政府の見解がありました。

今回は、コロナショックとリーマンショックがどう違うのか、また、どちらの方が経済への影響力が強いのか、その理由を考察していきたいと思います。

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コロナショックはリーマンショックを超える金融危機を引き起こす?

コロナショックとリーマンショックの違い

結論から話すと、コロナショックとリーマンショックの違いは、実体経済に影響が出たのが先か市場に影響が出たのが先かという違いです。

2008年9月に起きたリーマンショックは、世界中の金融機関が大量に保有していたCDO(債務担保証券)の市場が崩壊したため、自己資本が毀損したことが原因でした。

しかし、今回の新型コロナウイルスによる経済の急減速は、人々が自宅に留まり消費が激減したため、企業のキャッシュフローや家計の収入が同時多発的に減少したことが原因です。

つまり、リーマンショックは市場に起きた打撃が経済に影響を及ぼしたのに対し、新型コロナウイルスによる経済的な打撃は先に実体経済に現れ、その後市場を直撃し、主要株価が大暴落したという違いです。

リーマンショックの時は経済対策は雇用を守り所得を保つことが出来た

リーマンショックの際は発端となったアメリカの金融業界にTARPと呼ばれた資本注入等の対応策がとられ、金融機能の崩壊を防ぎました。

TARPとは、(TARP: Troubled Assets Relief Program)の略称であり、日本語では「不良資産救済プログラム」と訳されます。

その具体的な内容は、大手金融機関への1250億ドルの公的資本注入でした。

そして、TARPにより金融業界が持ち直すと、企業や家計のバランスシートを修復するために、貯蓄を増やすことを奨励し、それにより発生した民間の資金余剰を政府が財政出動で借り入れて使い続けることでGDPを維持する必要がありました。

実際、企業の内部留保は、過去最高水準まで高まっています。

これは、マクロ的にみるとCDOバブルの崩壊により、民間の企業や個人がバランスシート修復のために一斉に貯蓄や借金の返済を増やした分を政府が借りることによりGDPを維持し、GDPが維持されたために民間の企業や個人がバランスシート修復のための借金を返済し続けることができる水準の収入を確保できたのです。

 

コロナショックの経済対策は雇用を守るのが困難

しかし、コロナショックの際は、企業や家計の収入が減少したことによりGDPが減少していますので、そもそもGDPを維持することが出来ません。

ですので、政府はどうにかして消費を増やそうと、リーマンショック時よりも多くの現金給付を検討してるのです。

また、企業の倒産を防ぐためにも、無担保・無利子の貸付や所得税の納税猶予を行うことで、資金繰りを助ける必要があります。

現在、政府に行って欲しい(一部は現実化してますが…)対応について、詳しくは下記記事をご覧ください。

また、政府系金融機関だけでなく、民間の金融機関の貸付も政府が保証することにより、即効性を持たせることも一つの方法だと思います。

しかし、貸し付けを行うだけでは資金繰りは楽になっても、返済は行う必要がありますので、今まで企業が貯め続けてきた内部留保は減少していきます。

ある意味、今までマスコミや経済学者に批判され続けてきた、バブル崩壊以降の数十年分の内部留保が役に立つ時が来たということです。

 

各国の金融市場はバランスシート不況とは異なる状況に

上記のような原因で不況に陥った場合、各国の金融市場はバランスシート不況とは全く異なる局面に入ったことを意味します。

それはどういうことかというと、今までは自己資本(内部留保)を積み上げてきた企業は今後、金融機関から借り入れを行わなければ内部留保を切り崩さなければならないため、借入を増加させるようになります。

つまり、日米欧の金融機関が苦しんでいた預金>貸出の状況から預金<貸出に変化しかねません。

そして、今後は資金繰りに余裕がある企業とない企業では、貸出金利の差が顕著になる可能性が高いです。

また、ウイルスの封じ込めに時間がかかるようであれば、企業の資金繰りがさらに悪化し、金利が上昇する懸念もあります(一般的には、景気が悪くなれば金利も下がるのが大切ですが)。

つまり、本来は不況であれば企業は借入を控えるため金利は下がりますが、今回のコロナショックでは、金融市場のタイト化(金融市場に存在するお金が減少すること)により、その逆の事態が起こりかねないということです。

 

企業の資金調達が市中銀行社債の発行かが重要になる

また、企業の資金調達の方法が市中銀行からの借入であれば、返済が滞った時に銀行と相談することで、返済をリスケジュールしてもらえる可能性があります。

本来であれば不良債権としなければならないような債権を不良債権として扱わないことで、銀行の負担を減らすこと※も一つの手です。

※本来であれば、銀行は返済が困難になった貸付先への債権を「格付」して「貸倒引当金」、つまり損失を計上しなければなりません。

しかし、資金調達を社債の発行で行なっていた場合は、社債の購入者に返済しなければならず、資金繰りが逼迫します。

つまり、企業の債務の債権者が誰なのかも今後は重要になります。

 

まとめ

コロナショックはリーマンショックと違い、実体経済に先に影響が出ていることから、政府や中央銀行が取ることのできる対策が限られてきます。

しかし、影響が長期化したリーマンショックに比べ、コロナショックは特効薬が開発されるまでの短期間の不況になる可能性がありますので、悲観しすぎる必要もないと思います。

 

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