DSCRやLTVとは?賃貸住宅の事業計画でストレスをかける基準!

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皆さんこんにちは。

以前、賃貸住宅(不動産投資)向けのローン審査を通すための方法として、正確な事業計画の立て方について解説しました。

詳しくは下記の記事を参照ください。

今回は、事業計画で算出することができ、収益性の確認に必須となる指標(数値)について解説していきます。

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アパートローンの返済に困らないためには?DSCRを理解しよう!

DSCRとは?

アパート投資を考えている方が、実際に不動産などの投資向け商品を購入する際には、アパートローンや賃貸住宅ローン等の金融機関借入を利用する方法がほとんどです。

投資家の中には、借入に対するリスク意識が低い方がよくいますが、「借入を行う」ということは、どんなに好条件の投資用不動産でも、返済が滞り、破産に追い込まれるリスクがあるということです。

では、そのリスクまたは投資物件の安全性はどのように確認できるのかというと、「DSCR」という指標が役に立ちます。

 

DSCRは日本語では「元利金返済余裕率」と訳され、その正式名称は「Debt Service Coverage Ratio」(デット・サービス・カバレッジ・レシオ)といいます。

どのような指標かというと「不動産から得られる家賃収入から必要経費を引いた利益が、借入金の返済をどの程度賄うことができるか」を示しています。

さらに平たくいうと、「アパートの儲けで毎月どのくらい返済できるか」ということです。

なお、ほとんどの金融機関では、投資物件に借入金の返済能力があるかどうか(安全性)を確認するために、審査時にはDSCRをチェックします。

 

DSCRの算出方法

DSCRは、全返済期間の全ての年で確認が必要になります。

ですので、借入期間が20年であれば、20年分のDSCRを計算しなければなりません。

そして、その算出方法は

DSCR = 「年間NOI(正味稼働利益) ÷ 年間返済元利金」

という式によって算出されます。

例えば、年間NOI(正味稼働利益)が1,000万円の投資物件に対し、年間の元利金返済額が800万円だった場合のDSCRは、1000万円 ÷ 800万円という計算により、1.25となります。

DSCRの数値は、大きければ大きいほど返済に余裕があるとされ、金融機関からの評価は上がります。

金融機関によって基準は違いますが、最低でも1.0を超えていなければ融資を受けることは難しいでしょう。

また、金融機関の審査上で優良案件としてみなされるには、DSCRは1.5以上が必要になります。

 

DSCRによるローン借入額の検討方法

金融機関がDSCRを重視して、審査を行なっているのはわかりました。

では、借主(債務者)側にとっては、算出したDSCRをどう利用できるかというと、ローンの借入金額を検討する目安にすることができます。

上記の例で、DSCRは1.25でしたが、この場合、「金利上昇等によりローン返済元利金が1.25倍になったとき」に投資物件の利益だけではローンの返済が不可能になります。

ですので、将来の金利上昇が1.25倍以上になりそうであれば、借入金額の減額を検討すべきでしょう。

 

NOIの算出方法

上記で DSCRの算出に使用したNOIとは、いわゆる「営業純利益」のことです。

その算出方法は

NOI = 物件収入 – (空室家賃 + 水道光熱費+固定資産税等の税金 + 管理費 + 火災保険料等)

です。

なお、NOIの計算においては、投資する建物の減価償却費や修繕費、ローンの支払利息等は、支出として扱いませんので注意が必要です。

 

DSCRと並ぶ重要な指標であるLTV

LTVとは、投資物件の評価額に対するローン等の借入金の割合を示した数値です。

和訳すると「総資産有利子負債比率」とされ、正式名称は「Loan to Value(ローン・トゥー・バリュー)」です。

つまり、

LTV = 借入金額÷ 物件の評価額

の算式で導かれます。

例を挙げると、評価額が5,000万円のアパートに対して、3,000万円のローンを組んだ場合には、「LTV」は60%です。
そして、金融機関が不動産投資向けのローンを審査する際には、DSCRと同じくらいこの「LTV」を重視します。

なぜかというと、いざ投資物件が想定よりも収益が上がらず、返済が滞った際に、金融機関が貸出金を回収するには、担保にとっている投資物件を売却しなければならないからです。

そして、往々にして担保物件は公的な評価額では売却できず、評価額×70%程度の価値しかありません。

ですのでLTVが極端に高すぎる場合は、担保価値不足となり、満額での審査が通らない可能性があります。

 

投資を成功させるためのDSCRやLTVの活用方法とは

投資物件を紹介してくる不動産会社や建設会社もDSCRを用いて、いかに利回りが高い物件かを説明してきます。

しかし、その説明を鵜呑みにしてしまってはいけません。

なぜかというと、一般的なDSCRの算出には、NOI(正味稼働利益)を用いて計算しますが、不動産会社や建設会社は、より優良物件に見せるために、NOIではなく物件が満室稼働であるとみなした「満室想定NOI」を用いて計算している場合があるからです。

満室想定NOIによりDSCRを算出すると、空室が発生した場合のリスクが計画に含まれていませんので、実際に運用すると事業計画に比べ、必ず利回りは悪化します。

ですので、購入を検討している物件で、満室想定NOIによりDSCRが算出されていた場合は、空室のリスクを勘案したNOIを使ってDSCRを計算し直しましょう。

 

満室想定NOIを用いたDSCRの算出方法は以下の通りです。

DSCR = 「年間満室想定NOI(想定正味稼働利益) ÷ 年間元利金返済額」

例を挙げると、投資物件において満室時の年間NOIが1000万円の物件を購入し、年間元利金返済額が800万円の場合のDSCRは、1000万円 ÷ 800万円 = 1.25です。

しかし、上記はあくまでも満室時のDSCRです。

不動産投資において、常に満室の物件は存在しないと言っても過言ではありませんので、満室時のDSCRを算出しても何の意味もありません。

また、金融機関ではDSCRの算出を行う際にはある程度の「ストレス」をかけます。

金融機関のストレスのかけ方は、①賃料収入の減少ストレス、②空室率のストレスの2パターンがあります。

例を挙げると、上記物件(満室時の年間NOIが1000万円)で、当初5年間は満室、その後は20%が空室になると設定した場合、5年後の年間NOIは800万円まで減少します。

この場合のDSCRは、800万円 ÷ 800万円 = 1.0となり、純利益だけで返済が可能となるギリギリのラインとなります。

つまり、

①満室想定NOIのDSCR = 1000万円 ÷ 800万円 = 1.25 

②5年後に20%が空室の場合の年間NOIのDSCR = 800万円 ÷ 800万円 = 1.0
さらに、そこに賃料減少ストレスがかかり、売上が減少すれば、DSCRは1.0を下回り、赤字物件となってしまいます。

つまり、物件への投資を自分で判断する場合、理想的なのは、投資金額に対するロ-ンの借入金額の割合を調整し、高水準のDSCRを確保することです。

そして、その前提条件として現実的な水準のNOIを導き出すことが必要になります。

また、LTVを低く抑えることにより、DSCRを高めることができます。

LTVを低くするためには、自己資金が必要になりますが、借入額を抑えることで返済負担が軽減するため、DSCRを高くすることができます。

 

まとめ

不動産投資は、あくまでも投資であり、100%安全な運用方法ではありません。

ですので、予期せぬリスクが発生することも多々あります。

そのようなリスクに備えて、事業計画の策定段階では、正確なDSCRやLTVの算出、そして、現実性の高い堅実な計画の策定を行うように心がけましょう。

 

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