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原油価格の大暴落はいつまで続く?株価の大暴落に繋がる可能性も

皆さんこんにちは。

ただでさえコロナウイルスの感染拡大による影響で世界中の株価がダメージを受ける中、2020年3月9日に起きた原油価格の急落で、世界中の株価は大暴落しました。

今回は、なぜ原油価格が下がったのか、そしてなぜ株価にも影響が出ているのかを解説し、その上で、今後の世界経済にはどのような影響が出てくるのか考察していきます。

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原油価格の急落で金融危機が起きる?オイルショックの可能性について考察

なぜ原油価格は下がったのか

まず、原油価格はどのように決まるのかというと、アメリカ産原油の市場であるのウエスト・テキサス・インターメディエイト(WTI)の相場に連動して世界の原油価格も変動するとされています。

また、2010年からはロンドン市場のインターコンチネンタル取引所(ICE)の価格も世界中の原油価格に影響を与える指標価格となってます。

市場機能が働いて値段が決まるということは、需要が多ければ値段が上がり、供給過多だと値段が下がるということです。

それを踏まえて今回の原油価格の急落を検証してみると、2020年3月6日に開催された石油輸出国機構OPEC)とOPEC非加盟産油国が構成する「OPECプラス」でロシアやサウジアラビア等の主要産油国の協議が決裂したことにより、これまで供給を抑えて価格を維持していた両国が、安価に大量の原油を供給し始めたのが原因であることが分かります。

実際に、WTI原油先物価格は年初に1バレル60ドルほどでしたが、上記の競技決裂を受け、一時は20ドルを割り込む展開となりました。

 

なぜOPECプラスの交渉は決裂したのか

今回の交渉が決裂したのは、ロシアとアメリカの関係悪化が原因と言われています。

ロシアはこれまでOPECとの合意に基づいて原油の減産を続けてきましたが、その減産分をアメリカのシェールオイル業社が穴埋めしてしまっていたため、ロシアが期待していたほどの価格維持効果を上げられなかったことに強い不満を抱いていました。

そこでロシアが考えたのが、ロシア産原油の価格を下げてシェアを拡大し、その過程でアメリカのシェールオイル産業にダメージを与えて価格決定の主導権を取り戻すという戦略でした。

しかし、OPECプラスの減産合意が決裂すると、ロシアと同様に、原油シェアを拡大したい意図を持つサウジアラビアが価格攻勢に出てしまいました。

このロシアとサウジアラビアのシェア拡大を図るために起こした行動が今回の価格急落を引き起こしたのです。

 

なぜ原油価格が急落すると株価も大暴落するのか?

一見、原油価格が下がれば、企業の燃料費が削減されることで業績が上向いたり、ガソリン・ガスの価格が下がることで家計に恩恵がでたりするため、経済的には景気拡大効果があるように思えます。

では、なぜ世界の株価は大暴落してしまったのかというと、シェールオイルの増産によりアメリカが世界最大の産油国になってしまったことと、それに伴い、9,000社まで増加したと言われているアメリカの石油関連企業の財務内容が原油価格の下落を受けて大幅に悪化する懸念があるからです。

その懸念とは、過去の記事でリーマンショック級の経済危機を引き起こす可能性があると解説したジャンク債(ハイイールド債)が関係しています(ジャンク債の詳細は下記の記事をご覧ください。)。

実は、このジャンク債のかなりの部分が、アメリカのシェールオイル関連企業が発行したものと言われています。

ですので、原油価格が下がることにより、その企業の業績が圧迫され、連鎖的に倒産するようなことが起これば、その企業の債権を購入した企業(特に金融機関が多いです。)も大打撃を受けますので、リーマンショック級の金融危機の引き金を引くことになりかねない</span >のです。

 

しばらく原油価格は下げ止まらない

このようなロシアとサウジアラビアの対立は、短期的には両国にマイナスな効果をもたらしますが、どちらの国もその根底にあるのは、アメリカのシェールオイル産業にダメージを与えたいという考えです。

ですので、上記で述べたジャンク債市場において、アメリカのシェールオイル関連企業に実際にダメージが出ていることを確認できるまで今のような状態が続くことが考えられます。

一方、アメリカのシェールオイル業界も黙って見ているわけではなく、このような事態に備えて、体力を強化してきた背景があるため、ロシア・サウジアラビアアメリカの我慢比べになる可能性が高いと思われます。

 

まとめ

原油価格の低迷は今後しばらくは続くことが想定されます。

一個人としては、ガソリンやガスの価格が下がりますので、喜ばしいことなのですが、世界経済に目を向けると、金融危機の引き金を引きかねない重大な事件に発展しています。

原油関連の主要産油国同士の調整は、巨大な利権が絡むことですので、解決するには時間がかかると思われますが、その動向は注視する必要があります。

 

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