現役銀行員の銀行業務相談所

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住宅ローンの借り換えはお得?変動金利は手数料で損することも!

こんにちは。
年度末が近づいてきましたが、そろそろ銀行の営業マンはノルマに追われて必死になってきます(営業時代は私もそうでした…)。今回は、住宅ローンの営業が、ノルマ達成のために手を出す最後の手段でもある「借り換え」について解説していきます。

住宅ローンの借り換えは、一時期のブームはひと段落したものの、未だにお客様から相談が多い案件ですので、メリット・デメリットや審査の流れ等について詳しく説明します。

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住宅ローンの借り換えの基本について

住宅ローンの借り換えとは

住宅ローンの借り換えとは、読んで字の如く「現在借りている住宅ローンと同じ額を、他の金融機関の住宅ローンをより良い条件で借りることによって返済すること」です。ここで重要なのは、「より良い条件で」という部分です。本来金融機関は、顧客の利益を優先しなければならないため、借り換えの際は借入中の住宅ローンより良い条件で提案しなければなりませんが、営業マンによってはより良い条件に見えても結局は支払うお金が増えたり、手間だけがかかって顧客の得にはならないような提案をすることもあります。このような提案に騙されないためのチェックポイントとして下記のような費用がかかることを覚えておきましょう。

 

借り換えには様々な費用がかかる!

借り換えには様々な費用がかかりますので、注意が必要です。一般的に必要となる費用を下記に列挙します。①繰上返済手数料②抵当権抹消費用③借入事務手数料④印紙税⑤抵当権設定費用⑥保証料等があります。①、③、⑥は金融機関により、差がありますが、平均的な金額は60万円〜80万円程度です(金融機関や借入状況により異なります)。この中で気をつけたいのが、③の借入事務手数料です。ネット銀行の中には⑥の保証料を無料にしている金融機関もありますが、大抵はこの事務手数料が高額になり、結果として、地銀等の一般的な金融機関と借り換え諸費用の総額は変わらないことが多いです。

また、借り換え諸費用は借り換え時に追加で融資を受けることができます。住宅ローン担当者からいきなり「借り換えには80万円かかりますので、現金で用意しておいてください」と言われるようなことはありませんので、安心してください。

 

借り換えがお得なのは固定金利

ここ数年、借り換えは非常に人気があり、お客様からの問い合わせを多数いただきました。その理由は、日銀のマイナス金利政策により、現在の住宅ローン相場が歴史的な低金利になっているためです。借り換えの最大のメリットは金利を下げ、支払う利息を減らすことにありますので、マイナス金利政策が導入される前(それ以前も低い水準でしたが…)に住宅ローンを借りた方の中で、全期間固定金利を選択された方は、数百万円のコスト削減効果を得ることができる可能性があります。

上記の借り換え諸費用も踏まえてのコスト削減効果を下記表1に示します。

前提条件…残高:2,500万円、借り換え前金利:全期間固定3.0%、残存期間:25年、借り換え後金利:全期間固定1.5%、借り換え手数料80万円

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また、巷では借り換えのメリットを受けるためには、①残高が1,000万円超②金利差が1.0%以上③残存期間が10年以上のいずれかの条件に当てはまることとされています。これは概ね間違っていないと思いますが、私の経験上、全期間固定金利でお借入中の方に限ってはこの条件に当てはまらなくても、メリットが出る可能性がありますので、一度シミュレーションを行ってみると良いでしょう。

 

変動金利は借換手数料に注意

固定金利は借り換えるとお得ですが、変動金利の方は借り換えると損になる可能性があります。なぜなら変動金利の場合は元の金利が低いことが多く、借り換えても支払利息があまり変わらない可能性がある一方、借換にかかる手数料は固定金利だろうと変動金利だろうと変わらないためです。

しかし、変動金利でも借り換えを行うメリットがある場合もあります。それが、変動金利から全期間固定金利への借り換えです。以前私の書いた記事で、現在は史上稀に見る低金利の時代だと解説しました。ですので、今後訪れるであろう金利の上昇局面へのリスクヘッジとして、全期間固定金利への借り換えは有効です。下記表2に変動金利の借り換えの具体例を示しますので、参考にしてください。

前提条件…残高:2,500万円、借り換え前金利:変動1.0%(5年後に2%へ上昇)、残存期間:25年、借り換え後金利:①変動0.5%(5年後に2%へ上昇)②全期間固定1.22%、借り換え諸費用80万円

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上記に述べた通り、「変動金利→変動金利」の場合は借り換えメリット金額を借り換え諸費用が上回ったため、損をする結果となり、逆に「変動金利→全期間固定金利」は金利が上昇した結果、得をする結果になりました。表2はもちろん「将来の金利が上がる」という仮定に基づいての計算ですが、金利の動向はどうなるかわかりませんので、金利の低い今こそリスクヘッジのために借り換えを検討しても良いと思います。

 

借り換え時の申込と審査

実は借り換えの申込と審査は新規借入の時とほとんど変わりません。

新規借入の申込〜審査の詳細は下記記事をご覧ください。

ただし、提出書類だけは新規借入と違う部分があります。それは、現在借り入れ中の資金について残高や借入の詳細を調べるために、返済計画表や金銭消費貸借証書(略して金消といいます。)の写しが必要になることや、延滞をしていないか確認するために、通帳の写しの提出が必要になること等、既往借入金についての調査が審査のフローに含まれるからです。しかし、延滞せずに毎月返済を行なっている方であれば、問題はありませんので、そこまで気にすることはないでしょう。

 

住宅ローン控除は受けられる?

他のブログや記事を見ていると、「借り換え後は住宅ローン控除を受けられない」といった内容が書かれている時がありますが、借り換えでも住宅ローン控除は受けることができます。

ただし、注意していただきたいのは、控除を受けることができる期間はあくまでも当初の借入から10年間(2020年12月までに住宅を購入した方は13年間)」であることです。私が営業担当者だった頃にも(まれにですが)「借り換えたから、控除を10年間受けることができますか?」と相談を受けたことがありますが、借り換えによって控除期間が延びることはありませんので、注意が必要です。

 

まとめ

今回は、住宅ローンの借り換えについて解説を行いました。借り換えで重要なのは、金利が下がるからといって住宅ローン担当者の言いなりになってしまわないことです。

最近は金融機関のホームページ等でシミュレーションを簡単に行うことができますが、借り換えに関しては、金融機関のローン担当者しかわからないこともありますので、ネットで完結させるのではなく、実際に金融機関の支店に行き、正確なシミュレーションを作成してもらいましょう。