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ソーラーシェアリングの事業スキームとは?農業委員会の現地調査対策もご紹介!

皆さんこんにちは。

過去の記事でソーラーシェアリングの基本やメリット・デメリット、農作物の選定方法等について解説してきました。

今回は、ソーラーシェアリングの事業化までの進め方や事業スキーム、そして、最大の課題である農業委員会の実査についてより実践的な内容を解説していきます。

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ソーラーシェアリングで成功する事業の進め方!農地転用期間中の管理方法はどうすればいい?

ソーラーシェアリング事業化のスキーム

①計画地の選定

②営農者の決定

③作物の決定・営農計画の策定

④設備の設計・資材の選定

⑤事業計画の認定・電力会社への申請

農地法関連許認可の取得※

⑦施工

⑧売電・営農開始

⑨保守・点検、定期報告

⑩3〜10年毎の農地転用再申請

上記手順は太陽光発電の発電事業者と営農者と地権者が別の場合を仮定していますので、もともと自己所有の土地で農業を営んでいる方が、ソーラーシェアリングを導入したい場合は、①、②は飛ばして③から開始してください。

※許認可の申請は、各市町村の農業委員会で行います。どの市町村でも概ね同様の申請手続きとなりますが、必要書類が異なる可能性があるため、申請前に電話等で連絡するようにしましょう。

 

権利関係が複雑になる事業スキームは?

発電事業者と営農者と地権者が異なる場合は、契約等により発生する権利関係が複雑となりますので、注意が必要です。

下記に示した5パターンが、事業を行う上で考えられうるパターンです。

①地権者=発電事業者=営農者

②地権者=発電事業者≠営農者

③地権者=営農者=発電事業者

④地権者≠営農者=発電事業者

⑤地権者≠営農者≠発電事業者

地権者と営農者が異なるパターン(④⑤)は滅多にあるとは思えませんが、一応記載しました。

どのような場合に想定されるかというと、④は、土地のみを地権者から借りて、発電と営農を行う場合であり、⑤は、地権者から営農者が土地を借り、発電事業者は営農者から発電設備の支柱部分のみの土地を又借りする場合です。

ですが、ソーラーシェアリングで利益を出すのであれば、遊休農地や耕作放棄地で賃料を払わず事業を行うのがベストですし、土地を借りる場合は権利関係が複雑になることで、様々な申請手続きが煩雑化してしまいます。

ですので、収益性を高め、事務の煩雑化を防ぐためには、農地を所有する農家が営農と発電を行う①のパターンで事業を行うのが基本となります。

 

地権者と営農者が違うとソーラーシェアリングの権利関係はなぜ複雑になるのか

上記の④⑤のように地権者と営農者、発電事業者が異なると、様々な契約を結ばなければならないため、手続きが多くなります。

【図1】ソーラーシェアリングの権利関係

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上図はソーラーシェアリングで発生する権利と契約をわかりやすくしたものです。

具体的には、下記のような権利と契約があります。

①区分地上権設定契約

農地上空を利用して、太陽光発電設備を設置し、売電を行う権利のことをいいます。

この権利は、賃借権登記が可能なため、抵当権を設定することができるため、土地所有者と発電事業者が異なる場合に、金融機関から重宝されます。

②支柱部分賃貸借契約

発電設備を設置するための支柱部分を利用するための権利です。

ソーラーシェアリングを行う際は支柱が接地している部分のみを農地転用しますが、土地の分筆を行うわけではないため、このような権利が発生します。

③耕作権賃貸借契約

(太陽光発電設備の下で)工作を行うための権利です。

④耕作委託契約

発電事業者が自ら耕作を継続できない場合に、第三者へ耕作を依頼する契約です。

ざっと見ても上記のような契約を結ぶ必要がありますので、地権者と発電事業者が異なる場合には注意が必要ですね。

 

農業委員会の実査(実地調査)を乗り越える方法

上記で事業スキームのパターンについて解説しましたが、最も多いパターンは地権者=営農者=発電事業者のパターンだと思います。

その場合、営農経験の浅い方もいると思いますので、ソーラーシェアリングの場合の農地転用についても解説していきます。

基本的には農地転用が認められるのは3年間となります。

そして、農地転用期間中は毎年、生産量がソーラーシェアリング開始前の8割以下となっていないかどうかの報告書を作成し、農業委員会に営農状況を報告しなければなりません。

正直な話、書面での報告に関しては、報告者の裁量で記載内容を調整することができるので、農業委員会から問題視されることはなく、特段何も懸念することはありません(農業委員会の担当者は「報告が適当な人が多すぎる」と困っていましたが…。)。

大袈裟にいえば、ソーラーシェアリングしていない場所で育てた農産物を、ソーラーシェアリングによって育てた農産物として報告することも可能なのです。

しかし、3年目に農地転用の再申請を行う際に行われる「農業委員会による実地調査」は生育状況の確認を農業委員会の担当者が実際に見て確認するため、言い逃れをすることができなくなります。

ですので、3年目には確実に収穫できるように、3年間で技術やノウハウを蓄積し、栽培に成功しなければなりません。

技術やノウハウは下記の記事でも書いた通り、JA(農協)から教わるのが最も効率的でしょう。

 

果樹や榊等の単年で収穫できない農産物はどう報告する?

また、果樹等の単年で収穫ができない農作物については、米や野菜等の単年で収穫ができる農作物と報告内容が異なります。

その方法とは、果樹の栽培管理(整枝・剪定、施肥、摘果等)が適切に行われているか、生育段階が通常と異なっていないかなどを、「知見を有する者」に確認してもらい、その意見書を報告書に添付する方法です。

これも、営農の知見を有するものとして、JAの「営農アドバイザー」に確認してもらうのがベストでしょう。

 

まとめ

ソーラーシェアリングを行う上で最大の課題は、「ソーラーシェアリングによる売電契約期間(20年間)に農地転用を継続し続けることができるか」です。

農地転用の継続ができなければ、残りの期間は事業を行うことができませんので、借金だけが残る結果となりかねません。

それを防ぐためにも、農作物の選定方法や生育方法等のノウハウを教えてもらい、農作物の育成に成功しなければなりません。

もしくは、手間がかからず、当面の間収穫を行わなくても良い果樹等を中心に生育をしてみるのも良いかもしれません。

 

 

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